第40回エリザベス女王杯回顧~ここもRiverman!渋った馬場でラトロ肩の寄り身を凌ぐラトロ肩

京都11R エリザベス女王杯
◎8.タッチングスピーチ
○17.シュンドルボン
▲18.ヌーヴォレコルト
△10.ラキシス
×15.ルージュバック
注5.タガノエトワール
注12.マリアライト
タッチングスピーチローズSの差し切りが掛け値なしの内容で、とにかくミッキークイーンに中距離でまともに勝ったのはこの馬だけ。それも外回りでの持続戦だけに価値がある。母父サドラーズウェルズの影響も強い体型で、洋芝札幌で凄い脚で差し切ったように多少タフな馬場になるのはむしろプラス。秋華賞では4角で振られるロスがあったし、ルメールも京都外回りでは信を置ける乗り役だから、ここは巻き返しに期待したい。シュンドルボンは「ハイペリオンナスルーラ」基調の配合のハーツクライ産駒で、実直なピッチ走法で伸びつづける脚質はハイペリオン的、2着の山を築いたあと古馬になって3連勝というのもジャスタウェイの本格化と重なるものがある。ルージュバックミッキークイーンとガッブリ四つで渡り合った馬で素質は最上位だが、追い切りの動きに春ほどしなやかさを感じなかったので一枚割り引く。

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「持続戦のモノサシ」でも書いたように、3歳牝馬の芝中距離における格付けは、昨夜相撲を観ながら飲んでたのでそれでたとえるならば、まず二冠馬ミッキークイーンが堂々の横綱

そのミッキーと東京でガップリ四つで渡り合ったルージュバックと、阪神外回りでまともにミッキーを寄り切ったタッチングスピーチ大関で、関脇がクルミナル、小結がクイーンズリングというべきでしょう(レッツゴードンキはマイル部門、ミッキークイーンは内回りでは1馬身割り引きというのが私の考え)

アルビアーノのスワン快勝やノットフォーマルのクイーンS4着をみれば世代レベルが低いとは思えなかったし、だから秋華賞では不利があって届かなかったタッチングスピーチが外回り2200mで末脚をフルに発揮できれば、ぶっつけ本番になったルージュバックオークス時に近い状態で出てくるのならば、ヌーヴォレコルトラキシスを差し切っても不思議ないと考えていました

Sadler's Wellsが強いタッチングにとっては週末の予報が下り坂なのもプラスに考えられましたが、雨のエリ女とくれば◎ピクシープリンセスのうすら寒い思い出(同じディープインパクト×Sadler's Wells)が頭をよぎったのも事実(^ ^;)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012104906/

直線で馬群を捌くときになかなか加速できず、残り200mでやっとスピードに乗って、ゴール板をすぎてから2完歩で1,2着馬を差し切っていました

新馬戦のパドックをかぶりつきで観たのがちょうど一年前、あのときはさっさん会期待の若手イメケンFさんと、「タッチングスピーチパドックで落ち合いましょう」と一緒に観てたんですよね~

「う~ん…これはいい馬やけど、思った以上にピクシープリンセスやなあ(^ ^;)」というのが第一印象で、それから一年後にエリ女で同じオチつけられるとは、ホンマに競馬ってオモロイです

ルージュバックは体質がだんだんパワー型に寄ってきているのかもしれませんが、追い切りの動きにもパドックの並足にも、春のあの溜息が漏れるほどのしなやかさが感じられなかったし、3歳牝馬横綱はこれだと評価してきた馬ですから印は入れておいたんですが、内心はここは無事に回ってくればいいかなあ…というぐらいにみていました

4角で加速できないのは春と同じで、しかし戸崎が追い出してからのアクションには、やっぱり春ほどのしなやかさや華麗さはなく、それで4着というのはさすがというべきでしょう

結果としては、行事軍配は古馬の2頭に上がったけれど、3歳の才媛2頭が大関の名に恥じないレースで3,4着というのは、いいエリザベス女王杯だったんやないかなあ…と思います

マリアライトクリソライトリアファルを3/4兄弟に持ち、母クリソプレーズはアロンダイトの全姉にあたり、ダート向きのパワーと中長距離のスタミナを誇る一族

オールカマーではショウナンパンドラに一瞬にして置き去りにされてしまったように、ディープ牝駒にしては鋭さは並というべきですが、これで馬場が渋ったら3戦3勝で雨は歓迎だったし、緑風や潮来を見てのとおり牡馬顔負けのスタミナの持ち主でもあります

マーメイドでは強気に捲りきって前総崩れを演出して自らも2着に踏ん張ったように、重賞で勝ち負けになる地力を着々と蓄えてもいました

母クリソプレーズはこれで名繁殖の地位を不動のものとしましたが、その父エルコンドルパサーがNureyev≒Sadler's Wells3×2にSpecial=Lisadel4×3・4のスーパー名配合、母キャサリーンパーはNasrullah=Malindiの全きょうだいクロス3×4、そして自身は欧州で大成功したSadler's Wells×Rivermanの組み合わせ(Bold ReasonNever Bendの3/4兄弟クロスが根拠)
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2011103832/

産駒はみんな肩が立っていて似たような掻き込むフットワークで走るのは(だから重やダートが巧い)、私がよくいう“ラトロ肩”、Never BendBuckpasserなどLa Troienne血脈が伝える立った肩を産駒に伝えているからです

リアファル菊花賞は全くバテてはおらず、京都の高速馬場で仕掛けのタイミングが少し遅れたことによる鋭さ負けと私はみていますが、マリアライトは弟とは対照的に、渋った馬場を味方につけ、他の有力馬よりワンポジション前で一歩先んじたスパートで、初重賞制覇がG1という大仕事をやってのけました

乗り役に日本人も外国人もないとは思っていますが、テン乗りのガイジン騎手が揃って馬群に沈み(ラキシスは直線挟まれる不利があった)、ずっと主戦としてコンビを組んできた蛯名マリアライト、岩田ヌーヴォレコルト、戸崎ルージュバック、そしてルメールタッチングスピーチもこれが3度目のコンビで、そういうコンビが上位争いしたという意味でもいいエリザベス女王杯だったと思います(そしてガイジンたちは、得てしてこういう変則大逃げには弱い)

岩田は大外を引いた時点で前で受けるのは諦めて、他の有力馬をみながら差す競馬を選んだのかな?この馬場でこの展開ならば、いつものようにマリアライトの前で受けることができれば…と一番悔やんでいるのは岩田かも

終わってみれば母系にRivermanを引く馬が1~3着、Rivermanミッキークイーンショウナンアデラの母系にも入るし、クイーンズリングの母はRiverman4×3で、母系にRivermanの血を引く牝馬が大レースで斬れつづける今日この頃

中でもマリアライトタッチングスピーチはSadler's Wellsを経由するBold ReasonNever Bendのクロスを併せ持つぶん、よりラトロ肩でよりパワー寄りの斬れというべきで、そういう斬れが映える舞台でもありました

直前のドンカスターを勝ったブラックムーンも、ボツ予想コメントで書いたように母がForeseerRivermanとSwamp Nurseを通じるナスキロラトロの組み合わせの継続クロスで、ラトロ肩の掻き込み走法でいかにもパワーで差すタイプ
http://db.netkeiba.com/horse/ped/2012101505/

これが外から届いたので、よしよし大丈夫やタッチングスピーチが届く馬場やと確信して投資額が増えてしまったのですが(^ ^;)、しかし同じRivermanでも、同じラトロ肩でも勝ったのはマリアのほうだった

Mill Reefブレイヴェストローマン
足して割ったらRiverman
コクがあって、キレがある

パラダイスクリークがJCにやってきたときですからもう20年前ですか、「週刊競馬通信」に書いたコラムのタイトルがこれで、今日のマリアの斬れは叩き上げの古牝馬のコクを感じさせるもので、あんまり美しくない蛯名ダンスとも合ってた気がします(^ ^;)お見事でした

ウオッカミッキークイーンが体現する“Rivermanの女性的な斬れ”について
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/92aac231c91bda42fd1e1b140ceb8166
持続戦のモノサシ
http://blog.goo.ne.jp/nas-quillo/e/6cc8bba5a38b7c11d27bcf66d81c13f0