第16回ヴィクトリアマイル回顧~まさにマイルの女王!別格・異次元・桁違い

東京11R ヴィクトリアM
◎6.グランアレグリア
○9.テルツェット
△17.スマイルカナ
土曜の東京芝は相変わらず速い時計や上がりが出ていて、ディープ産駒とカナロア産駒の活躍が目立った。メインの京王杯SCも勝ったラウダシオンは父がディープ系で母母父がストームキャット系。3着カイザーミノルと5着ビオグラフィーはカナロア産駒で、4着ミッキーブリランテは父がディープ系だった。
グランアレグリアの相手探しだが、まずはテルツェットを指名。リアルスティールやラヴズオンリーユーの姪で、デインヒルダンサーストームキャットが強い小柄なマイラー体型で、ディープ×ストームキャットらしい実にしなやかな体質。東京マイル高速戦は望むところだろう。
もう一頭ならスマイルカナ。エイシンヒカリの姪で父ディープインパクトも同じ3/4同血の間柄。東京には実績がないが、これもディープ×ストームキャットだから高速決着になればなるほどスピードが活きるのでは。ディープ産駒からディープ×ストームキャットへ2点。

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例によってNETKEIBAの全頭血統解説より
<アーモンドアイ(20年1着)、ジュールポレール(18年1着)、アドマイヤリード(17年1着)、プリモシーン(19年2着)、ミッキークイーン(16年2着)と、サンデーサイレンスミスタープロスペクタースペシャル血脈(ヌレイエフやサドラーズウェルズなど)を併せもつ馬が毎年連対圏に。今年の登録馬ではエーポス、テルツェット、ディアンドル、デゼル、マルターズディオサ、ランブリングアレーがこの3血脈をもつ>

グランアレグリア
母タピッツフライは芝8Fの北米G1を2つ勝っており、牝系はマリスターやゴールデンフェザントと同じで芝向き。ディープインパクト×Tapitは日米リーディングサイアーの組み合わせでアルーシャやプライドランドと同じ。母似のマイラー体型でしなやか体質で、高速巡行能力抜群の最強マイラー。脚元はTapit的で繋ぎは短く爪は小さく渋った馬場も巧い。大箱マイルは最高パフォーマンスを出せる舞台だし、極端に揉まれ込んだとき以外に不安点は見当たらない。(距離◎スピード◎底力◎コース◎)



ランブリングアレー
スヴァルナの3/4妹で、母ブルーミングアレーはフローラS3着。母母プリンセスオリビアはFlower Alley(トラヴァーズS)とトーセンラースピルバーグを産んだ名繁殖牝馬。父ディープインパクトなのでトーセンラースピルバーグと3/4同血の間柄だが、本馬はRobertoの影響も強い脚捌きで、実績どおり急坂コーナー4つの中距離戦に向いた馬だろう。成長力ある母系らしく5歳で本格化したが、ここはマイルの高速戦に対応できるか。(距離○スピード○底力◎コース○)



マジックキャッスル
ソーグリッタリングの3/4妹で、トーセンデュークやサトノエンペラーの姪。母ソーマジック桜花賞3着で、母母スーアは伊1000ギニー(伊G2・芝1600m)勝ち。母系にFairy Kingを引くディープ牝駒はハープスターやジュールボレールなどめちゃんこ走る。小柄なディープ牝駒だが、RobertoとFairy Kingの影響を感じる脚捌きで機動力とパワーにも富んだ中距離馬。マイル戦にも実績はあるが、前走はスローで追走が楽だったのもあるか。(距離○スピード○底力◎コース○)



今年のヴィクトリアマイルは何頭か先行型がいたのですが、そのなかでもおそらくハナを切るだろうと目されていたイベリスが心房細動で行きっぷりが悪く大敗を喫してしまい、レシステンシア武豊とスマイルカナ大知とディアンドル団野は外枠なので無理には主張しないという構えで、内枠のクリスティが半ば押し出されるようにハナへ

そこから3~5F目の3Fが34.9とペースダウンし、レースラップが前後半46.0-45.0で2着以下はコンマ7秒以上離されているので、だいたい好位勢で46.5-45.5ぐらい、差し追い込みで47.0-45.0ぐらいの前後半ですかね、中距離馬のランブリングアレーが直線まで引っ張ったままで追走できるぐらいのペースでした

中山牝馬勝ちランブリングアレー、愛知杯勝ちマジックキャッスル、福島牝馬勝ちディアンドル、中日新聞杯2着シゲルピンクダイヤ、今年中距離重賞を勝っている馬が上位を占めたのも、中距離馬が無理せず追走できて直線脚を使えるペースだったことを裏づけています

最近のヴィクトリアマイルは、20年が前後半45.6-45.0、19年が44.8-45.7、18年が46.8-45.5(稍)、17年が47.9-46.0(稍)、16年が45.7-45.8、15年が45.5-46.4

前半が後半より1秒以上遅い後傾になった年は、18年がリスグラシュー2着、17年がデンコウアンジュ2着で、やはり中距離血統の中距離馬が、中距離馬の斬れで2着に差してきてるんですよね

「そうかスローと読んで、デンコウアンジュを探せというレースやったんか…でもそれやとデゼルやシゲピンにしてしまったかなあ…」と呻くしかなかったですが、レシステンシアが中距離馬に楽に追走されて差されてしまうシーンは、メジャーエンブレムがドスローで逃げてデンコウアンジュにビュンと差されてしまったまさにアレですよね

というわけで2着3着にはディープ×シンボリクリスエス×Sadler's Wells(Fairy King)の中距離馬が差してきたのですが、レース上がりが11.2-10.9-11.3ですから、坂を駆け上がりながら10秒台で加速するには、ナスキロ的ナスペリ的にしなやかにストライドを伸ばすよりも、Roberto的パワーピッチでガガガッと加速してしまったほうが優位なのだ、という差し合いでもありました

ランブリングアレーとデゼル、マジックキャッスルとシゲルピンクダイヤ、同じような位置から直線は並んで追い合ってましたが、坂をのぼりながらRobertoのほうがグイッと抜いてます

そんな適性やポジションの攻防をよそに、勝ち馬だけは別格・異次元・桁違いの脚で突き抜けたのですが、ほんとに1600ではうなるし、しなるし、速くて強くて大きくて、まさにマイルの女王、秋はGolden Sixty退治に香港に行ってもらいたいと私も思いますね

Tapitの血を引く日本での活躍馬には、グランアレグリアf、テスタマッタラニ、ラビットランf、アルーシャf=サラスf、デュードヴァン、タールタン、ゴールデンバローズ、アメリカンシードなどがおり、たしかに牝は芝での活躍が目立ちます

Tapitのヌルッと見えるほどの柔らかな皮膚の質感、あれを最も受け継いでいたのがタピッツフライでした」(社台スタリオンの三輪さん)



タピッツフライはジャストアゲイムS(米G1・芝8F)を逃げ切り、ファーストレイディS(米G1・芝8F)を大外捲りで勝っていて、このあたりは母系に入るAureoleの血の影響でしょう

前にも書いたように、グランアレグリアがマイルで負けたのは、直線でぶつかり合ったNHKマイルとアドマイヤマーズに捲られたら怯んでしまった朝日杯、この二つだけで、今日もルメールはまず外に出すこと、揉まれないポジションをとることを最優先ミッションとして乗ってました



このタピッツフライのヌメヌメ体質や芝マイル適性はPink Pigeonにさかのぼる牝系由来でもあるだろうと考えていて、Pink PigeonはNasrullah≒Oil Capital3×2、Hyperion5×4、Bull Dog=Sir Gallahad4×5というA級の父母相似配合

ここから伝説の鬼脚でJCを差し切ったゴールデンフェザント、フランスのマイルG1を2勝したGravelines、デルマーオークス(米G1・芝9F)2着のマリスターなどが出ます

日本に輸入されたマリスターは直仔にベッラレイア、マルロス、ピンクパピヨン、孫にカフナ、トウシンモンステラ、ワイルドラズベリー、ベッラレジーナなどを出し牝系を伸ばしつづけていますが、やっぱりみんな芝向きのしなやかさがあって、これはPerfect Pigeon~Pink Pigeonのナスペリ的ナスキロ的しなやかさなのだろうと



パカラPOG収録の合間を縫って川越ファームさんちにお邪魔したとき、ベッラレイアの娘カラレイアがいて、おおこれエンパイアメーカーの肌やし面白いですねと言ってたんですが、これがやはりエンパイアらしからぬしなやかでヌメ感ある体質でした

それにしてもタピッツフライの早逝は残念としか言いようがなく、その血を遺せるのはこのグランアレグリア一頭しかいないんですよね